本格法廷ミステリー小説を映画化した『法廷遊戯』(11月10日公開)で、永瀬廉と北村匠海が2019年放送のドラマ「FLY！BOYS，FLY！僕たち、CAはじめました」以来久々の共演を果たした。彼らが演じたのは、確実に認め合いながらも、ある因縁に絡め取られた2人。ヒリヒリとするような緊張感のなか、それぞれの正義や信念を持つキャラクターを見事に演じきっている。俳優、そしてアーティストとしても活動しているという共通点を持つ永瀬と北村は、「数少ない仲間だと思っている」と口をそろえるなど息ぴったり。お互いから受ける刺激を語り合った。
【写真を見る】永瀬廉と北村匠海、特別な関係性が伝わるシーンにも注目だ
■「匠海くんはめちゃくちゃ話しやすい人」(永瀬)
小説家にして弁護士の五十嵐律人による同名小説を、『白夜行』『神様のカルテ』(共に11年)などの深川栄洋監督が映画化した本作。模擬裁判“無辜ゲーム”の果てに起こってしまった殺人事件をきっかけに、ロースクールの同級生3人の裏に隠された真実が暴かれていくさまを描く。本作が映画主演4作目となる永瀬が、弁護士の道に進み、殺人事件の第一発見者となってしまう“セイギ”こと久我清義。セイギの幼なじみで、殺人事件の容疑者となる織本美鈴に扮するのが、杉咲花。無辜ゲームを主宰する異端の天才で、殺人事件の被害者となってしまう結城馨を北村が演じる。予測不可能な展開、若手実力派たちが起こす化学反応が大きな見どころだ。
――本作でお2人はドラマ「FLY！BOYS，FLY！僕たち、CAはじめました」以来、久しぶりに共演を果たしました。ドラマ以降はどのような交流がありましたか？
永瀬「撮影で会ったのは本当に久しぶりだよね。ドラマが終わってからは、みんなで飲みに行ったりもしたね」
北村「2人だけでリモート飲みもしたよね」
永瀬「そうだ、やった！(新型コロナウイルスによる)自粛期間に一度だけ。僕と匠海くんだけのサシZoom飲み(笑)」
北村「僕がリモート飲みをやったのって、あとにも先にも一度か、二度しかないんだけどね」
永瀬「そのうちの1回が僕なの!?すごい(笑)。でも僕も、Zoom飲みってそれくらいだな。その数少ないなかの1回が、匠海くん」
――今回共演できるとなった時の感想を教えてください。
永瀬「久々に会えるな、うれしいなと思っていたけれど、共演シーンの撮影は2、3日だけだった…。びっくりしました(笑)」
北村「そうなんだよね。僕の撮影自体が5日間しかなかった(笑)。僕自身、深川監督はものすごく好きな監督で、花（杉咲）ちゃんとは小学生のころからの知り合いです。そして廉くんとは、彼が初主演を務めたドラマで共演をしている。今回、廉くんと花ちゃん、そして深川監督という、大好きで関係の深い人たちとご一緒できると聞いて、うれしかったです。以前、廉くんと共演して印象深かったのが、廉くんから『なにか観たほうがいい映画ってある？』と聞かれたこと。ものすごくひたむきだなと思ったんです。馨という役柄的にも、みんなを俯瞰しておもしろがって見ているような立ち位置だったので、廉くんと花ちゃんが深川監督の演出に良い意味で翻弄されるところを見たいなと思って、撮影に参加しました(笑)」
永瀬「あはは！『なにか観たほうがいい映画ってある？』って、言った記憶があるな…。匠海くんの車の中だったよね。でも前回のドラマ撮影も楽しかったな。匠海くんはあまりしゃべらない人なのかなという印象を持っていたんですが、実際にご一緒してみると、ボケるし、ツッコんでくれるし、めちゃくちゃ話しやすい人だった。お互いにボケ合って、ツッコミ合ってというノリが、匠海くんとの間で流行っていたんだよね(笑)」
■「廉くんは、守備力高めの鉄人」(北村)
――前回の共演から、お互いの変化を感じたことはありますか？
北村「前作も本作も、どちらも廉くんが主演という立ち位置の作品でご一緒させていただきましたが、廉くんはものすごく幹が太くなって、より人間として芯の通った人になったなという感じがしました。深川監督にちゃんと翻弄されていて、それもよかったなと思って(笑)」
永瀬「確かに振り返ってみると、結構そういう瞬間があったかもしれないね。この作品はそういうものなんだと思って、頑張って立ち向かっていました」
――深川監督の現場は、「想像もしていなかったような演出が飛んでくる」という話も聞きます。
北村「僕は、ドラマ『にじいろカルテ』と『星降る夜に』で深川監督とご一緒させていただいていて。深川監督って、僕らを使って実験をしているようなところがあるんですよね」
永瀬「僕としては、一度共演したことのある匠海くんがいてくれたことで、ものすごく楽しんでやることができたし、精神的にもかなり支えてもらいました。以前も感じたことなんですが、匠海くんはそばにいるだけでリラックスできるような存在。また久々に再会をして、改めて強くそう思いました。匠海くん、そして杉咲さんがいてくれたおかげで、胸を張って現場にいられたような気がしています。一緒に頑張っていく方々の人柄が、僕を堂々とその場に立っていられるようにしてくれた。だからこそ、匠海くんにも幹が太くなったと感じてもらえたのかな」
――北村さんも主演という立場をよくご経験されていますが、主演として立つ永瀬さんをご覧になった印象はいかがでしたか。
北村「僕自身、主演をやる時はもちろん作品を背負う感覚もありつつ、なるべく肩肘を張らずに、いつもと同じような感覚でいるようにしたいなと思っていて。廉くんも同じように肩の力を抜いて臨んでいるなと感じましたし、僕から見ると廉くんは“守備力が高めの鉄人”なんです。初めて共演した時から、いつでもブレないようなところがあって『プロだな、すごいな』と思う瞬間がとても多いです。廉くんは監督からどんなことを言われても、現場でなにが巻き起こっても、『大丈夫ですよ！』と言うことができる。その強さが芝居にも出ている気がします」
――北村さんからは「深川監督に翻弄される」という言葉もありましたが、永瀬さんはそこに立ち向かっていったのですね。
永瀬「とりあえずやってみようという気持ちは大事にしていました。言われたことはすべて挑んでみて、その結果どうしてもわからないものについては相談させてもらったりもしましたが、まずは頑張ってみるようにしています」
北村「深川監督の演出は、驚くようなものでも実際にやってみると、これはおもしろいなと思わされるものばかりなんです。本作では、清義と馨が階段を駆けあがるシーンを恋愛のような雰囲気で撮りたいという話もあったよね」
永瀬「匠海くんが僕の身体を押してきたりするのを、『おい、なんだよ』と応えたり。だいぶかわいらしいシーンになりました(笑)」
北村「ほどよく恥ずかしさがあって、おもしろかったね。深川監督はそうやって、シーンに意味を持たせる監督だなと思います」
■「僕にはKing & Princeという軸がある」(永瀬)
――清義と馨は、とても一言では表現できないような関係性にある2人です。その関係性にどのような印象を持ちましたか？
永瀬「清義にとって馨は、心を許せる数少ない存在です。清義のコーヒーを、馨が『ちょうだい』と飲んだりするシーンからも、近しい関係性であることが伝わるなと思いました」
北村「馨にとっても、清義は親友だったと思います。ネタバレになるので難しいですが、因縁のある2人ではありながらも、馨が清義に抱いているのは憎悪ではありません。“清義に託す”という気持ちを持っているようなところがありつつ、馨はすべてをゲームのように楽しんでいるところもある。ちょっと変態なんです(笑)」
――清義と馨が“認め合う2人である”ことには、間違いがないですね。永瀬さんと北村さんは、俳優でありつつ、グループ活動も両立させているお2人です。そういった意味で刺激を受けることはありますか。
北村「数少ない、仲間だと思っています」
永瀬「本当にそうだよね」
北村「役者が音楽をやるということ。そしてアーティストが芝居をやるということ。僕はそのどちらか一方に偏った見方をされたくないという想いから、どちらも頑張ってきました。廉くんも役者、そして音楽活動にもひたむきに向き合っている人なので、音楽番組で会った時にも『仲間がいる』という気持ちになるんです」
永瀬「音楽番組で会ったりすると、本当にすごくうれしいよね。匠海くんが音楽でも活躍をしている姿を見ると『匠海くんも頑張っているから、僕も頑張ろう』と思うし、すごく心強い。お芝居の現場とはまた違った匠海くんに会えることも、毎回新鮮です」
――役者とグループ活動を両立させるうえで、大事にしていることはありますか？
永瀬「僕にはKing & Princeという軸があって、“King & Princeの永瀬廉”として作品に入るなど、グループ名を広げるために個人の仕事に向き合っている部分もあります。これからやっていくうえで大変なこともたくさんあると思いますが、その軸はブラさずに、自分らしく、あまり気負わず、どんなことも楽しみながらいろいろなことに挑んでいきたいです」
――また次に共演するとしたら、どのような作品がいいですか？
北村「僕は令和版の『バトル・ロワイアル』みたいなのがやりたい。主演は、永瀬廉。仲間ももっとたくさん参加して、僕はまた馨のようにゲームを支配するような立ち位置がいいな」
永瀬「『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』とか、『カイジ』みたいな頭を使うゲームに飛び込むのもいいね。(カイジのセリフ)『どうしてだよ～！』って言いたい(笑)」
永瀬「前のドラマ現場で、クイズを出し合うのがすごく流行っていたなということを思い出して。覚えてる？」
北村「覚えてる！そういう撮影現場ってきっとおもしろいからね。一緒に非日常空間に飛び込んでみたいです」
取材・文/成田おり枝
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（出典 lightwill.main.jp）
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